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ライフサイクルアセスメント(LCA)とは

最近、「脱プラスチック」の文脈で、既存のプラスチックを別のものに置き換えるという流れがあります。

はたして、紙のストローとプラスチックのストロー、どちらがより環境に優しいのでしょうか。

このページでは、そのような疑問を解決する糸口である「ライフサイクルアセスメント(LCA)」について解説をしていきます。
「プラスチック」と共生した持続可能な社会を築いていくために参考にしてください。

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは

LCA(Life Cycle Assessment)とは、製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取から廃棄・リサイクルまでの一連のプロセス)または、その特定のプロセスにおける環境負荷を定量的に評価する手法です。

特定のサービスの使用する時や廃棄をする時など部分的な場面にのみを焦点を当てて、環境にやさしいかどうかを議論するだけでは、最終的にどれだけ、そのサービスが地球環境に影響を及ぼしているのかを判断することができません。

LCAの考えを利用すれば、環境・社会、経済に対するそのサービスの影響を客観的なデータにより、 何が地球にやさしいのかを判断することができるでしょう。

ライフサイクルアセスメント(LCA)で評価をするプロセスの例

ここでは、環境負荷を評価する時点を切り分ける例を紹介します。

LCAでは数値が存在していない項目については、環境への影響を分析できない出来ません。評価方法の策定が重要となるのでぜひ、念頭に置いておいてください。

ゆりかごからゲート 原材料の採取から消費者にとどめられる前まで
ゆりかごから墓場 原材料の採取から、製品が廃棄されるまで
ゲートからゲート ライフサイクルの特定の時点から、別の特定の時点まで
例:原油の輸送からプラスチックの原料(ペレット)が製造されるまで

LCAの評価指標について

LCAは主に「経済」「社会」「環境」の3つのカテゴリーに適応されて考えられています。

上記の3つのカテゴリーにおける環境負荷を評価するための指標は多岐にわたります。

ここでは、その一部を紹介します。

累積エネルギー
需要量
製品使用後の廃棄処理を含め、ライフサイクル全体で必要となるエネルギーの総量
オゾン層破壊物質量 製品が提供するサービスにおいて、ライフサイクル全体の総ガス排出量がオゾン層減少に与える影響
水消費量
および排水量
特定の機能を満たすために必要な水の量
生態および人間
に対する毒性評価
化学排出物が人間の健康や生態系に与える影響
地球温暖化係数 一定期間(通常は100年)における気候変動の影響。製品が提供するサービスにおいて、ライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの総量が対象となります。

1つの指標だけを見るのではなく、複数の指標を総合的に確認し、最終的な環境負荷を判断することが重要です。

LCAでプラスチック利用の環境負荷を評価した事例

ここでは、長距離トラックに載せて運ばれる桃を入れる容器を変えると、環境負荷にどのような変化が見られるのかの検証結果を紹介します。

検証では、下記3つのパターンを比較しています。

  • 機能性プラスチック製容器
    (輸送時の揺れや衝撃を和らげることができる構造)
  • 網目構造のプラスチック製容器
  • 段ボール箱のみ

検証結果

桃の輸送距離を324kmと仮定した場合、

プラスチック容器は段ボールで運んだ場合と比べると、容器の生産、廃棄・リサイクルに必要となる環境負担は増えますが、プラスチックの緩衝機能で配送時に桃に損傷が生じにくいという特徴があります。

結果として、プラスチック容器の方が、温室効果ガスの排出量、エネルギー消費抑制につながり、環境負荷の削減につながるということがわかりました。

【PDF】プラスチック循環利用協会『LCAを考える「ライフサイクルアセスメント」考え方と分析事例』(https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf6.pdf

まとめ

このページでは、製品・サービスがどれだけ環境負荷を与えているのかを計測する指標であるLCAについて解説をしていきました。

プラスチックとその代替品を比べる場合にも、LCAは非常に有効な分析手法です。

環境への影響を考える上で、プロセスの一部分だけを切り取って論じることは最適とは言えません。原材料の採取から、廃棄・リサイクルまでの一貫した流れの中で、 トータルどれだけの環境負荷があったのかを比較してみることよって、より良い意思決定をすることが可能となります。

この視点は、我々の生活に密接しているプラスチックとの共存を考える上でも重要です。