セルロースナノファイバー/セルロースマイクロファイバー
木材といった食物繊維が主成分のセルロースをナノサイズに細かくして資源のことを、セルロースナノファイバーと呼びます。軽量さや頑丈さで注目を集めるセルロースナノファイバーとともに、押出機を提供しているプラスチック加工機器メーカーのシーティーイーを取材しました。
セルロースファイバーとは
セルロースファイバーとは、木材チップから木材繊維(パルプ)を抽出・微細化し、他の樹脂に混ぜ込んでつくるものです。
プラスチックそのものというよりも、セルロースファイバーが樹脂のつなぎ役として機能することで強度が増し、使用するプラスチックの量を減らすことができます。植物繊維のために燃やしても影響なく、軽さと強度を実現しながら、環境にも配慮した成形材料になりうるバイオマス素材です。
セルロースファイバーの課題
セルロースファイバーは有効性が高いものの、エネルギーコストや生産性に課題があります。
繊維を微細化する解繊(かいせん)の過程において、化学処理と機械処理という2つの方法が確立されていますが、どちらも水中で行う湿式製法のため、その後に乾燥工程が入ります。
そのため大量の水と、乾かすためのエネルギーが必要で、CO2が排出されるなどエネルギーコストの面で課題があります。
植物由来の次世代素材!セルロースナノファイバーとは
セルロースナノファイバー(CNF)は木材など植物を原料とする新素材。木材繊維(パルプ)を化学的・機械的処理により数~数十ナノメートルに微細化しています。
生産・廃棄に関する環境負荷が小さく、鋼鉄の1/5の軽さかつ5倍の強度を誇ります。 CNFは家電や自動車の内装材や外板、住宅の断熱材などに使われています。
セルロースナノファイバーのメリット
- 生産・廃棄に関する環境負荷が小さく、軽量
- 弾性率が高い
- 酸素などのガスバリア性が高い
セルロースナノファイバーが使われる用途
- フィルター部材
- 高ガスバリア包装部材
- 化粧品や食品の塗料
- エアコンのフィルター
セルロースファイバー事例
パナソニックは植物由来のセルロースファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込む技術を、植物由来の樹脂(バイオポリエチレン)へ展開し、バイオマス度90%以上の成形材料を開発しました。
軟らかいバイオポリエチレンにセルロースファイバーを高濃度添加することで、従来kinari(※1)と同等強度の実現、また白色材料として開発することにも成功しました。
セルロースナノファイバーにも課題を解決できるプラスチック加工とは?
CNFが構造材や補強材として注目されながらも、普及はそこまで進んでいません。それは、大量の水に分散させてナノスケールまで繰り返して細かく繊維をほぐすための機械処理が必要で、そのためのコストの高さが挙げられます。
当メディアではセルロースナノファイバーのコンパウンド事例を持つ、プラスチック機械メーカーを取材。画期的な押出機を提供しているシーティーイーを紹介します。
シーティーイーの押出機とは
シーティーイーは、特許製品のHTM型二軸押出機を提供しています。得意としているのは、フィラー高充填コンパウンド、難燃剤コンパウンド、PVCコンパウンドといったところで、それが実現できるのも高い混練性、低温での押出能力などを備えているからこそ。シーティーイーの押出機ならこれまでできなかったコンパウンドを実現することができます。
セルロースナノファイバー/セルロースマイクロファイバーのプラスチックコンパウンド事例
【プロの目で読み解く】なぜ高フィラーコンパウンドができるのか
伊藤勝人
我々が実現できるのが、高フィラーコンパウンドです。その考え方は昔からありますが、いま環境問題と一緒に考えられている理由が、樹脂比率を下げ、無機物・有機物を高配合することにより環境問題に取り組もうという企業が増えてきているからです。
高フィラーコンパウンドが機械的に一番難しいところが「ガス」。押出機の機構上、まず樹脂を溶かすために高温度で原料に温度をかける必要があります。その際、高温にさらされた樹脂や無機物・有機物は大量の「ガス」を放出します(多くは水分)。
一般的な二軸押出機はその際に大量のガスを外に出す機構が十分でなく、押出機に入れる前に原料を事前乾燥させる必要がありますが、弊社の機械はガス抜けが良い機構に作っています。そのため事前乾燥が不要で、弊社独自の混錬機構により樹脂を痛めつけずに練ることができる製品となっています。