二軸押出機は、スクリューの回転方向の違いで、同方向回転二軸押出機と異方向回転二軸押出機の2つに大きく分けることができます。ここでは、異方向回転二軸押出機の特徴や用途、技術的なメリットをまとめました。二軸押出機の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
異方向回転式二軸押出機(Counter Rotating Twin Screw Extruder)とは、2本のスクリューが互いに反対方向に回転する構造を持つ押出機です。熱に弱い素材や、高い圧力安定性・穏やかな混練が求められる加工に向いており、特に熱安定性の悪いPVCや、木粉など天然繊維複合材のように繊維損傷を抑えたい材料に適しています。医療・食品包装材など、物性の維持が求められる分野でも採用されています。
異方向回転二軸押出機では、左側のスクリューが時計回り(CW)、右側が反時計回り(CCW)に回転します。この逆回転により、内部で素材がスクリュー同士に挟み込まれるようにして前方へと搬送される構造となっており、穏やかで安定した加工が可能です。同方向回転式二軸押出機よりもせん断力が弱く、せん断発熱を押さえて低温での加工が可能となります。
| 異方向回転式(Counter) | 同回転式(Co-rotating) | |
|---|---|---|
| せん断力 | 小さい | 大きい |
| 混練力 | 穏やか | 強い |
| 熱発生 | 少ない | 多い |
| 適性素材 | 熱に弱い樹脂(PVCなど) | 機能添加剤・複雑配合 |
| 自己洗浄性 | 低い〜中 | 高い |
| 搬送力 | 安定的、圧送型 | 混練主体 |
熱可塑性樹脂とは、熱すると柔らかくなり冷やすと固まる特性をもつ樹脂のことです。中でも、硬質PVCや軟質PVC を用いたパイプや建材成形において広く利用されています。また、プロファイル成形やドアフレーム、電線管の量産ラインでの使用にも適しています。
木粉や麻繊維などの天然素材と樹脂を低温で混練する必要があるWPC製品の加工に適しています。スクリューによる過度なせん断を抑え、繊維を壊さずに均一に分散できるため、強度や外観を損なわずに成形することが可能です。
医療・食品包装用の樹脂は熱に弱く劣化しやすいため、トルクの安定性と低温処理能力を備えた異方向回転二軸押出機が有効です。特に品質維持が求められる製品において、安定した加工を実現することができます。
異方向回転二軸押出機は、スクリュー間で素材を押し出す「正圧式搬送」によって、押出中の圧力変動を抑えながら、一定の圧力で安定して供給することができます。これにより、成形品質のバラつきを抑えられる点が大きなメリットです。
2本のスクリューの逆回転により、せん断応力を抑えられるのが特長です。せん断時の発熱も抑えられるため、熱劣化リスクの高い材料でも物性を維持しやすく、安定した成形が可能となります。熱安定性の悪い素材との相性が特に良いです。
2本のスクリューが逆回転することで、材料を引き込みながら搬送するため、粉体や滑りやすい性質をもつ樹脂でも安定供給することができます。特殊配合の基材の加工にも有効で、歩留まりの向上も期待できるでしょう。
高い混練性能・分散性・脱気性能を兼ね備えたCTEの二軸押出機は、複雑な配合材料や再生材、高フィラーコンパウンドにも対応できる柔軟性が特長です。焼けや凝集を抑えながら、安定した物性を確保できるため、品質と生産性の両立が求められる現場に適しています。
材料ロスの削減や原料コストの見直しにも貢献し、製造ライン全体の利益構造改善にも貢献します。二軸押出機の導入を検討される際は、実績と技術力に裏打ちされたCTEをぜひご検討ください。
異方向回転式二軸押出機は、低温・低せん断での加工が可能なため、PVCや添加剤樹脂など熱に弱い材料の加工に適しています。繊維の破断を抑えて均一に混練できる構造は、木粉や麻繊維などの天然繊維複合樹脂の加工に有効です。
加えて、スクリュー間の正圧搬送による高い圧力安定性が、プロファイルやチューブの連続成形に寄与します。流速分布が明確で制御性が高く、品質の再現性が求められる製品にも向いています。