バイオプラスチック製造

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バイオプラスチックは、1キログラムあたり300円から600円と、石油由来樹脂に比べ2倍以上の価格帯で取引されています。環境対応が求められる中で需要が拡大しており、自社で加工体制をもつことができれば、高収益が期待できるビジネスチャンスが広がっています。その実現を支える製造設備として注目されているのが、混練と分散に優れる二軸押出機です。

バイオプラスチック市場の成長とビジネスチャンス

急成長を遂げる東南アジア市場

東南アジアのバイオプラスチック市場は、年率10%を超える成長を続けており、2030年にかけては年率16〜17%で拡大するとの予測もあります。とくにタイはPLA(ポリ乳酸)やPBS(ポリブチレンサクシネート)の生産拠点として国際的にも存在感を強めており、世界の主要生産国の一角を占めています。

拡大する用途と新素材の台頭

主力であるPLAに加え、PBSやPHAといった新しい生分解性樹脂の活用が進んでおり、食品包装から農業・医療・自動車部品まで用途が多様化

なかでもPHAは海洋分解性を持つ次世代素材として、商業生産の動きが始まっています。バイオプラスチック全体の60%以上をこうした生分解性樹脂が占めており、市場はさらに広がりを見せています。

※参照元:グローバルマーケティングラボ(https://www.global-marketing-labo.jp/column/?id=1638268198-933773)2020年時点

供給拠点としての競争優位

豊富な農産資源、低コスト人材、政府支援がそろう東南アジアは、今後のグローバル供給拠点としてのポテンシャルが高く、海外メーカーからの投資も相次いでいます。アジアを軸に世界のバイオプラスチック供給量は今後5年で3倍近くに達するとの見通しもあり、今まさに参入タイミングを迎えていると言えます。

※参照元:山田コンサルティンググループ 経営ナレッジ(https://www.ycg-advisory.jp/learning/oversea_190/)2022年時点

バイオプラスチックが広げる製品展開とビジネスモデル

日用品から産業用途まで

バイオプラスチックは、もともとレジ袋やストロー、カトラリーといった日用品分野での使用が中心でしたが、近年ではその活用領域が拡大しています。

包装材やフィルムといった軽包装用途に加え、自動車部品、医療器具、農業用資材といった産業用途にも応用が進み、耐久性や耐熱性などの機能を備えた製品化も可能になりつつあります。

多様な展開形態

こうした素材特性の進化に伴い、ビジネスモデルも多様化しています。特定のブランドを持たない工場型のビジネスとしては、OEM(受託製造)による供給モデルが有効。

また、自社開発の製品を持つ企業にとっては、プライベートブランド(PB)としての展開により、市場への直接訴求が可能になります。さらに、自治体や流通企業と連携した脱プラ施策への対応など、行政や商社とのコラボレーションによる社会課題起点の製品開発も広がっていくでしょう。

このように、バイオプラスチックの事業には、環境価値と経済性の両立という希少なバランスが存在します。地球環境への貢献がそのまま企業の差別化要素となるため、持続可能性が求められる現代において、新たな収益源としての魅力が高まっています。

市場動向|注目される製造設備への投資

バイオプラスチックの需要が高まる中、自社で製造体制を構築することの意義が増しています。原料の調達コストを抑えつつ、用途や機能に応じた製品設計を柔軟に行えるため、差別化による競争優位性を確保しやすくなります。

樹脂製品メーカーや商社からの受託製造ニーズも拡大傾向にあり、自社設備を持つことで、外部からの製造依頼にも応えられる体制が整います。

さらに、環境対応素材としてのバイオプラスチックは、国際的なサステナブル志向の高まりとともに市場が拡大。従来の石油由来樹脂と比較して技術的参入障壁が比較的低く、後発であっても参入余地が十分にあることから、新規事業の立ち上げを検討する企業にとって魅力的な選択肢となっています。

バイオプラスチック製造における技術的な課題

バイオプラスチックは環境負荷を低減できる一方で、加工面ではいくつかの技術的な課題を抱えています。

たとえば、素材によっては熱安定性に乏しく、加熱処理中に分解してしまう恐れがあります。また、水分吸収による分解リスクも無視できません。加えて、求められる物性に応じて、柔軟性や耐熱性などを添加剤で調整する必要があり、混合・混練技術の精度が問われます。原料ごとのばらつきもあるため、高い分散性能を発揮できる製造設備が必要です。

加工課題に対する主な対処法とアプローチ

バイオプラスチックの加工における課題は多岐にわたり、特性や用途によって適した対処法も異なります。たとえば、熱による分解を防ぐために以下のような技術的アプローチが取られています。

  • 低温での加工を可能にする特殊成形機の採用
    →熱に弱いバイオ素材に対応するが、用途が限定されやすい
  • 乾燥機や脱湿装置による事前処理の徹底
    →水分吸収による劣化リスクを抑えるが、設備が分散し管理が煩雑になる
  • プレミックス装置での事前混合
    → 混練負荷の軽減が可能だが、素材ごとに工程が変わるため運用が複雑化しやすい

こうした個別対応は一定の効果を持つ一方で、複数の課題に一括で対応できる装置は限られており、製造の安定化・効率化というでは、依然として課題が残るのが現状です。このような背景から、混練・分散・脱揮といった複合的な処理を一台で担える設備のニーズが高まっており、そこで注目されているのが次に紹介する「二軸押出機」です。

混練・分散に強い二軸押出機

バイオプラスチック製造における複雑な技術課題に対して、一台で複数の課題に応えることができるのが二軸押出機です。以下では、二軸押出機の特徴とメリットを解説します。

均一な混練と分散で、物性調整の自由度を確保

二軸押出機は、2本のスクリューが交差して回転する構造により、均質な混合を実現。耐熱性・柔軟性・透明性など、用途に応じた物性調整を高精度で行うことが可能です。

バイオプラスチックのように配合比率や機能性が製品ごとに異なる素材において、高い性能で応えます。

脱揮機能で水分やガスを排出、品質安定に貢献

素材によっては、水分を吸収すると熱分解を起こしやすい性質があります。二軸押出機には脱揮ゾーンが設けられており、加熱中に発生する余分な水分や揮発成分を効率的に除去できます。

素材劣化のリスクを抑え、加工の安定性と製品の品質保持に寄与します。

試作から量産まで、フレキシブルな生産対応が可能

スクリューの構成やバレルの長さを調整することで、小ロットの試作開発から中量・大量生産へのスケールアップがスムーズに行えます。

開発段階から市場展開までのリードタイム短縮や、製品ラインナップの拡張にも柔軟に対応できるため、事業スピードを加速させるインフラとして活用できるでしょう。

多工程を1台で処理、製造プロセスの統合と効率化

乾燥、混合、脱揮といった従来は分散していた工程を一体で処理できるため、設備投資や運用の面でも効率的です。人員負荷や工程数を抑えながら、安定的な品質と高い生産性を両立できる点が、二軸押出機をバイオプラスチック製造の中核設備として位置づける理由です。

二軸押出機を選ぶならCTE
CTE_二軸押出機_HTMタンデム型
引用元:CTE公式
https://cte-japan.com/en/product/htm-tandem-compounding-twin-screw-extruder/
CTE_二軸押出機_CTM型
引用元:CTE公式
https://cte-japan.com/en/product/ctm-twin-screw-extruder/
CTE_二軸押出機HTM型
引用元:CTE公式
https://cte-japan.com/en/product/htm-twin-screw-extruder/
CTE_二軸押出機_HTMタンデム型
CTE_二軸押出機_CTM型
CTE_二軸押出機HTM型

CTEの二軸押出機のひとつ。HTM型タンデム式混練押出機は、高濃度フィラーや再生材料、生分解性樹脂など、幅広いプラスチック加工用途に対応できる押出機です。タルクや炭酸カルシウム、酸化チタンといった無機フィラーの高充填にも対応でき、硬質塩ビやリサイクルPVC、PBATなど熱やせん断に敏感な樹脂の加工でも、劣化を抑えながら高品質に仕上げられる点が特長です。

さらに、非噛合い・異方向回転という独自構造により、ガス抜け性が高く、ペレットの気泡や成形不良を防止。混練性・分散性も極めて優れており、ケミカル/マテリアルリサイクル分野での活用にも適しています。

また、スクリュー構成はセグメント化されており、素材特性や目的に応じて柔軟にカスタマイズ可能。プラスチック原料から再生材、バイオマス樹脂まで、多様なレシピに対応する汎用性と生産性の高さから、プラスチックビジネスにおいて極めて有効なソリューションといえます。

まとめ

環境価値と利益性の両立を図れる数少ない素材ビジネスとして、バイオプラスチック製造は今後ますます注目される分野です。中でも製造の中核を担う二軸押出機は、高い混錬性や分散性、脱揮性により品質の安定化を図ることで、差別化と効率化の両面で競争優位性を高められるのが魅力です。

製品の多様化と市場ニーズの拡大が続く中、バイオプラスチック製造は、原料から製品までを一貫して手がける垂直統合を目指す新規事業の軸として、今まさに検討すべき領域といえるでしょう。