二軸押出機の基本的な特徴や用途を理解することは、装置の選定や製品を設計する上での重要な判断材料となります。特に複合材や添加剤を用いるケースでは、その混練性能の高さが製品品質に直結するため、導入前に十分な知識を得ておくことが大切です。
二軸押出機とは、原料を加熱しながら混練し、連続的に押し出して成形する装置です。シリンダー内の二本のスクリューを用いることで、複数の素材を均質に分散・混錬することができます。単軸押出機に比べて、混練性や処理能力に優れているのが特長です。目的に応じてスクリューの構成を変えることも可能。そのため、扱える材料の幅が広く、エンプラからバイオマス樹脂まで多様なニーズに対応できます。
| 用途 | 特徴・対応内容 |
|---|---|
| プラスチック製品の押出成形 | パイプ、シート、フィルム、プロファイル、ケーブル被膜などの連続成形に対応。 高粘度樹脂の処理に適しており、混練性の高さが寸法安定性や表面品質の向上に寄与。 |
| ポリマーコンパウンド/マスターバッチ製造 | 添加剤やフィラーを均一に混合可能。 ガラス繊維、難燃剤、高充填材など、多様な機能性素材にも対応。 |
| リサイクル用途 | 粉砕材や使用済み樹脂の再ペレット化に有効。 脱揮性能と低温押出によって、物性や外観の劣化を防止。 |
| 食品加工 | シリアル、スナック、パスタ、ペットフードなどの製造に活用。 でんぷんの糊化から成形までを一貫処理。 |
| 医薬・化粧品原料の加工 | 医薬品や化粧品原料の顆粒化・カプセル化に対応。 均質な処方が求められる用途に適する。 |
| 高機能材料・複合材料 | CNFやWPCなどの複合化に対応。 複雑な配合も均一に練り上げ、性能改善にも寄与。 |
二軸押出機は、その高い混練性能と処理能力から、多様な現場で利用されています。たとえば、自動車業界ではTPEやTPV、難燃性材料の押出成形に活用され、耐熱・耐衝撃性能の向上に寄与します。食品包装では、PLAとCNFの複合化により環境配慮型の容器製造が可能です。
また、光学分野ではBOPPやBOPETなどの樹脂フィルムにも使用されており、高い透明性と物性バランスを実現。発泡PEやXPSボードといった建材や、PET・PEといった再生材料などにも使用されるなど、二軸押出機の活用シーンは多岐にわたっています。
二軸押出機には以下のようなメリットがあります。
高い混練性能により、せん断力と滞留時間を適切にコントロールでき、複雑な配合でも原料を均一に練り上げることが可能。さらに、脱揮・反応・造粒といった複数の工程を1つのラインで完結できるため、プロセス全体の効率化にも寄与します。
ペレットはもちろん、粉体や液体といった多様な素材形状に対応できる柔軟性も特長のひとつ。スクリュー構成や温度プロファイルを材料特性に合わせて調整できるため、製品仕様や開発要件に応じた高いカスタマイズ性を備えています。
高い混練性能・分散性・脱気性能を兼ね備えたCTEの二軸押出機は、複雑な配合材料や再生材、高フィラーコンパウンドにも対応できる柔軟性が特長です。焼けや凝集を抑えながら、安定した物性を確保できるため、品質と生産性の両立が求められる現場に適しています。
材料ロスの削減や原料コストの見直しにも直結し、製造ライン全体の利益構造改善にも貢献します。二軸押出機の導入を検討される際は、実績と技術力に裏打ちされたCTEをぜひご検討ください。
平行型は、2本のスクリューが同じ径で平行に配置された構造しており、二軸押出機の中でも広く採用されているタイプです。高トルク・高スループットに対応でき、大量生産に適しています。スクリュー構成の自由度が高いことから、構成を変更することで、幅広い素材に柔軟に対応できる汎用性の高さが特長です。
異方向回転型は、2本のスクリューが互いに反対方向に回転する構造を持ち、主に高い脱気性能やせん断発熱の抑制が求められる用途に適している。スクリューが噛み合わない非噛合い構造と組み合わせることで、材料の滞留を防ぎつつ、混練性・脱気性・低温押出性のバランスに優れる。リサイクル材や高充填材、熱に弱い素材の加工などで性能を発揮するタイプ。
コニカル型は、スクリューが先端に向かって細くなる円錐形状が特徴です。圧力の安定性や搬送性能に優れており、 PVCなど熱に弱い材料加工に適しています。軸の形状上、平行型のようなスクリュー構成の自由度はありません。しかし、軸間距離を狭くできる構造のため、平行型よりも装置を小型化することが可能です。
二軸押出機では、モーターから供給された動力によって2本のスクリューが同方向または逆方向に回転し、原料を搬送しながらせん断、混合、可塑化していきます。スクリューはモジュール式で構成されているため、用途や目的に応じて自由に組み換えることが可能です。
バレルは2本のスクリューが格納されている、円筒形の輸送路のことです。複数のゾーンに分かれており、それぞれで温度と圧力を段階的に制御します。適切な温度プロファイルにより、原料の分解や劣化を防ぎながら安定した押出成形が可能になります。
二軸押出機内には、原料中の水分や揮発成分、ガスを効率よく除去するベントゾーンが設けられています。原料がベントゾーンを通過する際、脱揮・ガス抜きを行うことで、製品の品質低下を未然に防ぎ、安定して加工を行うことができます。
二軸押出機は、多様な材料への対応力に加え、高精度な混練性能と優れた圧送能力を兼ね備えています。さらに、反応や脱揮、乾燥といった複数の工程を1台で処理できるプロセス一体化の利点により、生産効率の向上や設備の簡素化が可能です。こうした特長が、製品品質の安定化や歩留まりの改善に直結し、幅広い業界から選ばれる理由となっています。