PAGE TOP

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチック

プラスチックは原材料と生分解の有無によって、いくつかの種類に分けることができます。ここでは、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックなど、プラスチックの種類ごとの特徴について紹介します。

目次

プラスチックは大きく4つの種類に分けられる

そもそもバイオマスプラスチックとは?

化石資源由来・非生分解性プラスチック

石油や天然ガスなどの化石原料を使って合成したプラスチックで、私たちの生活の中にあるプラスチックの99.9%がこれに該当します。耐熱性や強度が強い製品も多数開発され、家電製品や自動車、住宅資材など幅広い分野で使用されています。

ただし、廃棄時に燃焼することで地中の化石資源から大気中へCO2を排出するため、地球温暖化の原因となります。また適切に廃棄処分を行わないと、海に流れつき、マイクロプラスチック化してしまうため、強度や耐熱性が必要な製品だけに使用し、使用後はきちんと回収してリサイクルすることが必須です。

化石資源由来・非分解性プラスチックの代表的な素材

  • ポリエチレン(PE)
  • ポリスチレン(PS)
  • ポリエチレンテレフタレート(PET)など

参照元:【PDF】海洋生分解性ブラスチックの特徴を活かした、新たな3Dプリントプロダクトの可能性(https://fab.sfc.keio.ac.jp/paper/files/ataka_4DFF_fin.pdf)

化石資源由来・生分解性プラスチック

石油や天然ガスなどの化石資源から合成されたものですが、科学の進歩によって生分解するプラスチックとなっています。生分解の速度もバイオマス由来生分解性プラスチックよりも早いものが多く、海洋中でも比較的早く生分解が進行していきます。

ただし、生分解により発生するCO2は化石資源に含まれていたCO2のため、大気中のCO2排出量が増加してしまうので地球温暖化対策としては寄与しにくいのが現状です。

化石資源由来・生分解性プラスチックの代表的な素材

  • ポリ・ブチレン・サクシネート(PBS)
  • ポリ・グリコール酸(PGA)など

バイオマス由来・生分解性プラスチック

バイオマスを使用した生分解できるプラスチックで、生分解しても燃焼してもバイオマスに含まれていた炭素がCO2として大気中に戻るため、大気中のCO2排出量の増加がなく、コンポストや土中での生分解によって海洋へ廃棄物が流出することも抑止することができます。

しかし、耐熱性が低く強度なども化石資源由来のものと比較すると弱いため、使用する用途が限られているところが難点。また、海洋へ直接投棄されてしまうと生分解まで時間がかかってしまいます。

バイオマス由来・生分解性プラスチック代表的な素材

  • ポリ乳酸(PLA)
  • ポリ・ヒドロキシ・アルカノエート(PHA)
  • ポリカプロラクトン(PCL)など

バイオマス由来・非生分解性プラスチック

これまで化石資源からしか合成できなかったポリエチレン等を、バイオマスから取り出したメタンガスなどと合成させた生分解しないプラスチック。燃焼処理してもバイオマスに含まれていた炭素がCO2として大気に戻るため、大気中のCO2量に影響はありません。化石資源由来プラスチックで製造されている製品の代用素材として、使用しやすいプラスチックとなっています。

ただし、海洋へ流出した場合は生分解しないため、マイクロプラスチック化するので注意しなければなりません。現在も新たな樹脂の研究や開発が世界中で進んでいるプラスチックです。

バイオマス由来・非生分解性プラスチックの代表的な素材

  • バイオポリエチレン(バイオPE)
  • バイオポリエチレンテレフタレート(PTT)など

バイオマスプラスチックは、すべてが生分解性するわけではない

バイオマスプラスチックと一口に言っても、生分解するものと生分解しないものがあります。それぞれのプラスチックの特性を理解したうえで、地球環境への負荷を増大させないように、用途や機能を明確にして上手に使い分けしていくことが大事です。また、使用後のリサイクルについても種類ごとに異なるため、多くの人々に周知していくことが必要です。

CO2削減に繋がるのがバイオマス由来のプラスチック

プラスチックの中でも、バイオマス由来生分解性プラスチックは原材料が植物などの再生可能なものを使用しているため、製品の使用後は生分解してCO2を大気中に放出しても、そもそもの炭素はバイオマスに含まれていた分量なので大気中のCO2量に影響を及ぼしません

そこで、これまで主流となっていた化石資源由来非生分解性プラスチックから、バイオマスプラスチックに切り替えていくことで、大気中へ放出されている温暖化ガスの量を削減していくことが可能だと考えられています。

現実的なラインを考えた場合、すぐに既存の石油由来のプラスチックからバイオマスプラスチックに切り替えることは難しいといえるでしょう。そのため、ナフサから作られるプラスチックを適切に分別してから廃棄するなど身近な環境意識を高めることが重要といえるでしょう。

海洋プラスチック削減に繋がるのが生分解性プラスチック

生分解性とは、微生物の働きによって分子レベルで化学変化を起こし、CO2と水になり自然界へ循環する性質のこと。そのような性質があるため、マイクロプラスチックの発生源を絶つことができます。生分解性の機能を発揮させるには、ほかの成分と混ぜたあとの素材が生分解できるかをしっかり確認する必要があります。

バイオマスプラスチックと企業の付き合い方

プラミライ編集チームより

上記で示したとおりプラスチックには大きく4種類ありますが、これからの時代はその製品に求められる物性を担保しつつ、地球環境に配慮したプラスチックの活用が必要になります。プラスチックを使い分ける知恵が求められるなかで、コストを抑え、プラスチックの品質も上げていかなければいけません。

その課題をクリアしていくために必要なひとつは、プラスチックを加工する機器の見直しでしょう。当メディアではバイオマスの混練を実現する押出機を開発したシーティーイーを紹介しています。

【プロの目で読み解く】バイオマスプラスチックの課題解決の機器は?

取材協力
70%以上の高フィラー濃度のコンパウンドを実現
株式会社CTE
CTE
伊藤勝人

バイオマスプラスチックはまだ石油由来のプラスチックほど物性が良くないのは事実です。そこを解決するひとつとしては、コンパウンドの段階で品質を上げていくことが重要だと考えています。

バイオマスペレットをつくるにあたり、押出機では樹脂の温度が上がってしまう課題があります。樹脂の温度が上がると「劣化」が始まってしまい、それが二軸押出機の問題点にもなっています。弊社の二軸押出機は先端部分をスクリュー1本にすることで温度上昇を防ぎ、樹脂の劣化を限りなく小さくすることが可能です。そのため70%以上の高フィラー濃度のコンパウンドを実現することができます。

シーティーイーとは?

合成樹脂(プラスチック)を成型・加工する押出機という機械を設計から製造まで手掛けている機械メーカー。埼玉県上尾市に本社と工場があり、多彩な押出機関連装置から周辺機器・コンパウンドシステムエンジニアリングまで、幅広い技術を供給しています。 押出機に精通しているため、設計や製造だけでなく自社でサポートから保守、メンテナンスまで一貫して行っており、アフターサービスも充実。高品質な製品をリーズナブルな価格帯で提供しています。

シーティーイーの押出機とは?

高速回転の連続多列ロータースクリューを備えたことで、高い押出能力を持っており、単軸で押出すため過混練がなく従来の2軸押出機より樹脂温度が10~20℃低いのが特長です。

また、セグメント化されたスフィラー濃度70%以上可能なバンバリミキサタイプの複数の高速ロータによって、高い混練性と可塑化能力が高まり押出量がアップ。2軸混練機と単軸押出機を同軸化しているので、省エネルギー・省スペースを実現しています。

シーティーイーをさらに詳しくみる

公式HPでCTEの押出機を見る