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バイオマスプラスチックの耐久性

バイオマスプラスチックの耐久性について検証。物性や機能などを石油由来のプラスチックと比べてみました。バイオマスプラスチックが不向きな材料や耐久性のあるバイオマスプラスチック製造に対応しているメーカーも紹介しています。

目次

バイオマスプラスチックの耐久性は、
石油由来のプラスチックに比べてどう変わるか

バイオマスプラスチックの強度

バイオマスプラスチックは化学構造が単純なため強度が低く、大きな力が加わったり長期間に渡って使用する部品や製品への適用は難しい状態です。現在は使い捨ての製品や、比較的強度が求められない用途で使われることが多く、長期的な使用を目的とした場合は強度に対する対策などを十分に検討してから導入する必要があります。

バイオマスプラスチックの耐熱性

100℃以下の製品が大半を占めており、熱湯や真夏の直射日光が当たる場所などで使用する製品には不向き。石油由来の非分解性プラスチックと混合することで耐熱性を改良することが可能です。天然素材を利用した方法もいくつか実用化されており、140℃程度までの耐熱性能を持ったバイオマスプラスチックも開発されています。

バイオマスプラスチックの難焼性

バイオマスプラスチックは炭素や酸素、水素が主成分となっているため、燃焼しやすい性質を持っています。難焼化を行うためには、化学薬品を混合しなければならないため、生分解時にこれらの薬品を拡散させてしまう恐れがあるため、家電製品や自動車部品など過熱による発火を防ぐための難焼性が必須となる製品への使用は現時点では難しいと言えるでしょう。

耐久性のある主なバイオマスプラスチック

ポリ乳酸(PLA)

主にトウモロコシや芋、サトウキビ、ビートなどの植物由来のでんぷんや糖を原料としている生分解性の全面的バイオマスプラスチック。環境中の水分により加水分解を受け低分子化することで、微生物により水と二酸化炭素に分解。石油由来の樹脂の代替プラスチックとして、サステナブル社会の実現に貢献する材料として期待されています。

バイオポリブチレンサクシネート(バイオPBS)

自然界の土中の微生物によって、自然に水と二酸化炭素に分解される生分解性の部分的バイオマスプラスチック。生分解性プラスチックの中では高い耐熱性を有しており、一般的なプラスチックと同じ成形加工性があります。繊維などとの相溶性にも優れているため、単体では発揮できない性能を持つ他の樹脂や素材との複合材として活用することも可能です。

バイオポリエチレンテレフタレート(バイオPET)

さとうきびを由来としたバイオ原料を使用した非生分解性の部分的バイオマスプラスチック。性能面において、石油系プラスチックと同等レベルの耐熱性や耐久性などを有しており、通常のポリエチレンテレフタレート(PET)とほとんど変わりなく利用することができるため、自動車の内装表皮材として使用されたりしています。

バイオマスプラスチックの弱点、耐久性をどうカバーできるか?

プラミライ編集チームより

バイオマスプラスチックにも弱点もあります。今後は使用する製品に求められる物性を満たしつつ、地球環境への負荷を抑える使い方が必須となるでしょう。その点で生分解性プラスチックに非分解性のプラスチックを混合させるというアイデアもあるようです。が、その場合は生分解性の機能がなくなり、マイクロプラスチック化してしまいます。

生分解性という素晴らしい機能を発揮するためには、ほかの成分と混ぜた素材が生分解できるかをしっかり調査し、消費者にしっかり伝える必要があります。プラスチックを使い分ける知恵と努力が求められる時代になるでしょう。

その点で大事になるのが、プラスチックを加工する機械です。当メディアではコスト減、高品質のコンパウンドができる押出機を開発したシーティーイーを取材しました。

【プロの目で読み解く】バイオマスプラスチックの課題解決の機器は?

取材協力
樹脂の劣化が少なくするコンパウンドを実現
株式会社CTE
CTE
伊藤勝人

物性が石油由来のプラスチックと比べると低いです。例えば汎用樹脂と木粉を混ぜてウッドプラスチックデッキなどを作る場合、本来ならば樹脂分を少なくすることで環境に優しくはなるものの、木粉量が多くなるとその分強度が脆くなりデッキに向かないなどが起きてしまいます。

また、生分解性樹脂は生分解性樹脂の特性上(微生物の働きにより分子レベルまで分解し、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質)、場合によっては途中で分解が始まり、長期使用に向かない場合もあるのが懸念です。

こういう点を解決するために、コンパウンドの段階で品質を上げていくことが重要だと考えています。バイオマスペレットをつくるにあたり、押出機では樹脂の温度が上がる課題があります。樹脂の温度が上がると「劣化」が始まってしまい、それが二軸押出機の問題点にもなっています。弊社の二軸押出機は先端部分をスクリュー1本にすることで温度上昇を防ぎ、樹脂の劣化を限りなく小さくすることが可能です。また良好なガス抜き機構により、70%以上の高フィラー濃度のコンパウンドを実現することができます。

シーティーイーとは?

合成樹脂(プラスチック)を成型・加工する押出機という機械を設計から製造まで手掛けている機械メーカー。埼玉県上尾市に本社と工場があり、多彩な押出機関連装置から周辺機器・コンパウンドシステムエンジニアリングまで、幅広い技術を供給しています。 押出機に精通しているため、設計や製造だけでなく自社でサポートから保守、メンテナンスまで一貫して行っており、アフターサービスも充実。高品質な製品をリーズナブルな価格帯で提供しています。

シーティーイーの押出機とは?

高速回転の連続多列ロータースクリューを備えたことで、高い押出能力を持っており、単軸で押出すため過混錬がなく従来の2軸押出機より樹脂温度が10~20℃低いのが特長です。

また、セグメント化されたスフィラー濃度70%以上可能なバンバリミキサタイプの複数の高速ロータによって、高い混錬性と可塑化能力が高まり押出量がアップ。2軸混錬機と単軸押出機を同軸化しているので、省エネルギー・省スペースを実現しています。

シーティーイーをさらに詳しくみる

公式HPでCTEの押出機を見る