容リ法(容器包装リサイクル法)とはなにか?
家庭から出るごみの6割を占めている容器包装廃棄物を資源としてリサイクルしていくため、1995年に制定された「容リ法」(容器包装リサイクル法)。持続可能な社会に向けて廃棄物の量を少しでも削減していくために、容リ法(容器包装リサイクル法)について正しい知識を学んでおきましょう。
容リ法(容器包装リサイクル法)とは
容器包装リサイクル法、通称「容リ法」は一般家庭でごみとして排出されている、商品のびんやPETボトルといった容器や包装などを分熱して回収しリサイクル(再商品化)制度を構築するための法律です。
消費者が廃棄する際に分別して排出し、各市町村が分別収集を行い事業者が再商品化していくという役割を明確にすることで、「ごみの減量」と「資源の有効活用」の実現を目指していくことを目的としています。
事業者の役割「再商品化の義務」とは
容器包装に関わっている事業者や容器を製造・輸入する事業者は、廃棄物の量を減らすため販売後の容器や包装についても責任を持つという考えをもとに、使用・製造・輸入した容器や包装のリサイクルを行っていくこと、事業者が利用・製造・輸入した容器や包装の量などについて帳簿に記載し5年間保管することが義務づけられています。
再商品化義務のある事業者とは
容リ法(容器包装リサイクル法)の対象となっている事業者は「特定事業者」と呼ばれ、容器包装を作ったり、利用している業者が該当します。ガラス・PETボトル・紙・プラスチック製の容器の製造や輸入をしている包材メーカーや、特定容器に詰めた商品を製造・輸入している食品メーカー、販売する商品に紙やプラスチックなどを使用している小売業者など3種類の特定事業者に分類されています。
ただし、製造業などで常時いる従業員数が20人以下で年間売上高が2億4,000万円以下の場合や、商業・サービス業で常時いる従業員数が5人以下で年間売上高が7,000万円以下の場合は、小規模事業者とみなされ適用除外事業者となります。
再商品化義務のある容器包装は
ガラス製の容器をはじめ、紙袋や包装紙といった紙製容器包装や飲料・酒類などのPETボトル、発泡スチロールトレイやレジ袋、プラスチック容器などのプラスチック製容器包装の4品目。複数の素材でできた容器包に関しては、素材の中で1番重いものに分類されます。また、業務用に販売されているもので、事業所などから排出されるものは容リ法(容器包装リサイクル法)の対象外となっています。
再商品化義務の果たし方
指定法人ルート
容器包装リサイクル法を円滑に運用していくため、市町村が分別収集・保管した容器包装は、主務五省が定めた指定法人「(公財)日本容器包装リサイクル協会」が再商品化を行います。再商品化義務のある事業者の多くがこの方法を利用しており、対象事業者は委託料を支払うことで再商品化を代行してもらいます。日本容器包装リサイクル協会の再商品化委託契約は1年単位の年度契約となっており、特定事業者は毎年委託契約を行う必要があります。
独自ルート
市町村が分別収集・保管した容器包装を事業者が自ら再商品化したり、再商品化事業者に委託して再商品化を行う方法。主務大臣の認定が必要な方法となるため、一定の基準を満たしていることが条件となります。
自主回収ルート
リターナブルのビールびんや牛乳びんなど一定の回収率(9割程度)に達するものは、自社や委託業者が回収して再利用等する方法です。ただし、主務大臣の認定が必要となり、回収の実施状況について主務大臣への報告義務があります。
CSRの観点からもリサイクルは切っても切り離せない
環境問題に対する企業の姿勢が求められている昨今、CSRの観点からもリサイクルは切っても切り離せません。ゴミ処理方法の80%が焼却処理ということから、焼却時に出るCO2による地球温暖化への影響にもしっかり目を向ける必要があります。なにをどう取り組むべきか、早くからリサイクル問題に取り組み、プラスチック加工の機器を提供するメーカーのシーティーイーに取材をしました。
【プロの目で読み解く】リサイクルを企業はどう考えていくべきか?
伊藤勝人
サーマルリサイクルを除いたリサイクルをこれから日本は力を入れていく必要があると考えています(サーマルリサイクルが絶対にいけないというわけではありません)。日本がこれから向かっていかないといけないのは生産量を減らし脱プラスチックを目指すのではなく、アップサイクルやサステナブルに使える循環型にもっと力を入れていくべきでしょう。
そのなかでバイオマスや生分解性樹脂というのは人類の循環(分子レベルまでの分解により自然にかえる)という点で、サステナブルな社会につながると考えます。本質的になにが地球にとって正しく、優しいことかをしっかり考え企業活動を行っていく必要だと思います。
いま求められるコンプライアンスとは
プラスチック容器の1人あたりの廃棄量はアメリカに次いで2位(2014年時点)。こうした廃棄を起因として、CO2や海洋マイクロプラスチックの増加が起こり環境へ悪影響を及ぼしています。
企業として取り組まなければいけないのは、環境悪化の歯止めをかける商品の開発やリサイクルです。再商品化義務のある容器包装の義務を果たさない場合、消費者が商品を買い控えるようになったり、行政処分を受けるリスクがあります。
有効にリサイクルでき、環境問題への解決策としても活用が後押しされているのが、穀物や糖類が原料のバイオマスプラスチックです。バイオマスプラスチックは熱や圧力を加え、形成加工して新しい製品へ生まれ変わることが可能。そうした利便性もあり、世界がその波に乗ろうとしています。
現代は企業の誠実さやコンプライアンスが求められますし、責任をしっかり果たしているかどうかを消費者は見ています。リサイクルにしっかり取り組んでいることが競争力を高めるカギにもなっていくでしょう。