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木粉

木質材料とプラスチックを複合化し、それぞれの弱点を補完した新しい複合プラスチック素材として注目を集めるWPC。その特徴とともに、木粉の課題を解決する押出機を提供しているプラスチック加工機器メーカーのシーティーイーを取材しました。

目次

木粉とプラスチックの親和性

木材とプラスチックの複合体は、好ましい特性を備えています。

ひとつは環境調和性。木質原料として建築廃材や未利用剤への利用が可能で、廃棄されたプラスチックを利用できます。

木粉とプラスチックを原料とする木材・プラスチック複合材料を「WPC」と呼びます。家電製品や自動車内装品、建築資材なら、廃棄時に回収して粉砕や融解により、再度ペレット化してリサイクルが可能。

環境省の定義によれば、WPCはバイオマス由来のプラスチックを使用するか、生分解性プラスチックを使用しなければバイオプラスチックに該当しないということになっています。

WPCのメリット

  • 木材に比べ汚れにくく、トゲやささくれ・カビなどの劣化や、腐食などによる安全面での心配がない
  • 弾性率が大きく丈夫。高温度にも耐えられる
  • 木粉は森の間伐材を有効に使え、日本の森林保全に貢献ができる
  • リサイクルのほかCO2排出削減に繋がる

WPCが使われる用途

  • 公園のベンチ
  • 商業施設のデッキの板材
  • 森林公園の手すり
  • イベント会場の通路など

木粉の課題

木粉に限りませんが、樹脂にフィラーを大量に添加すると、必然的に溶融粘度は著しく増大します。

木粉を含めた植物の主要成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンは、200℃を超えると熱分解が徐々に始まり230℃を超えると分解が加速。そのため、射出成形時の樹脂温度は200℃以下にする必要があります。

溶融粘度を下げるために樹脂温度を上げた場合、木粉の熱分解によるガスの臭気による作業環境の悪化、成形品の着色(褐色から黒)、金型や成形機のシリンダーの腐食が発生し、良品を連続生産できなくなるのが難点です。

木粉の課題を解決できるプラスチック加工とは?

プラミライ編集チームより

プラスチックのコンパウンド化をするにあたり、木粉の含水率がひとつカギになります。木粉は一般的な無機フィラーに比べて吸水や吸湿しやすい素材で乾燥工程が不可欠です。しかし、その乾燥工程いらずの押出機を提供しているシーティーイーに取材をしました。

シーティーイーの押出機とは

シーティーイーは、プラスチックの二軸押出機を製造しているプラスチック加工機器メーカーです。世界水準の性能を備えた押出機のため、これまで混練が難しかったものを可能にし、吐出量も高水準です。

木粉のプラスチックコンパウンド事例

木粉の事例
PP、PE、ABS orPVC + 木粉

【プロの目で読み解く】なぜシーティーイーは高フィラーコンパウンドができるのか

取材協力
ガスの外に出す機構があり、事前乾燥が不要
株式会社CTE
CTE
伊藤勝人

我々が実現できるのが、高フィラーコンパウンドです。その考え方は昔からありますが、いま環境問題と一緒に考えられている理由が、樹脂比率を下げ、無機物・有機物を高配合することにより環境問題に取り組もうという企業が増えてきているからです。

高フィラーコンパウンドが機械的に一番難しいところが「ガス」。押出機の機構上、まず樹脂を溶かすために高温度で原料に温度をかける必要があります。その際、高温にさらされた樹脂や無機物・有機物は大量の「ガス」を放出します(多くは水分)。

一般的な二軸押出機はその際に大量のガスを外に出す機構が十分でなく、押出機に入れる前に原料を事前乾燥させる必要がありますが、弊社の機械はガス抜けが良い機構に作っています。そのため事前乾燥が不要で、弊社独自の混練機構により樹脂を痛めつけずに練ることができる製品となっています。