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カーボンニュートラルとSDGs

SDGsでもテーマとなっているカーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量と同等の量を吸収・除去したりすることで、全体として温室効果ガスの排出量をプラマイゼロにする脱炭素社会に向けた取り組みのこと。ここでは、カーボンニュートラルを実現するためにやるべきことなどをまとめて紹介するとともに、環境問題に取り組むプラスチックの加工機器メーカーのシーティーイーに取材をしています。

目次

カーボンニュートラルとSDGsの関連性

カーボンニュートラルの取り組みは、SDGs目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」と目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」という項目と深く関係しており、カーボンニュートラルに取り組むことによってSDGsの達成にも繋がります。

多くの温室効果ガスを排出している国をはじめ、エネルギー効率が低い国、これから温室効果ガスの排出が増えることが予想されている国が中心となり、気候変動の対策に向けて協力していかなければなりません。

カーボンニュートラルを実現していくためには、多くの電力や化石燃料を使用し大量の温室効果ガスを排出している企業の取り組みが欠かせません。世界の平均気温は2020年時点で、工業化以前(1850~1900年)と比べ、既に約1.1℃上昇したことが示されています(図参照)。年々深刻化している地球温暖化にブレーキをかけるため、日本においても2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すという宣言が出されています。

カーボンニュートラルを実現するためにできること

再生可能エネルギーへの転換

化石資源エネルギーの使用量と、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスといった再生可能なエネルギーの使用量のバランスがとれた社会に移行していく必要があります。ソーラーパネルなどの自家発電など、太陽光などで生み出されたエネルギーを電力に変換したものは、脱炭素化されたエネルギーを利用する一つの手段となっており、各省庁が協力しながら脱炭素社会への取り組みを経済に反映し、さまざまな政策や戦略が策定されています。

また、我々の抱える環境問題を解決するためには、カーボンニュートラルを達成する以外にも、石油由来のプラスチックとの共存を目指すことが重要となります。

プラスチックはもはや生活から切っても切り離せない存在なので、正しい廃棄方法を理解し、実践することが求められるでしょう。

エネルギー消費量の削減

エネルギーを使用することにより発生するCO2の排出を低減させるため、節電などの省エネをはじめ、再生可能エネルギーや水素などの非化石エネルギーの導入、省エネ効果の高い製品などを活用することによってエネルギー消費量を抑制。代表的なものとしては、照明器具をLED照明へ切り替える、ヒートポンプを使用した廃熱回収、液体の流量調整をバルブからインバーターに変えるなど、変更することで数十%ものエネルギー削減効果があります。

カーボンオフセット

日常生活や経済活動を行ううえでどうしても排出されてしまうCO2などの温室効果ガスを、他の場所でCO2の排出量に見合った温室効果ガス削減・吸収量によって埋め合わせるというもの。太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギーの使用をはじめ、エネルギー消費量を抑えるための高効率な省エネ機器の導入、CO2の吸収量を促進させるための植林や森林保護活動などを行うことによって、大気中のCO2量を相殺していくという取り組みです。

カーボンニュートラルに向けた日本の現状

電力部門の現状

カーボンニュートラルを実現するため、電力におけるCO2排出量の大半を占める火力発電所のCO2量を削減していくことが重要な課題となっています。しかし、太陽光などの再生可能エネルギーは天候などの自然条件に左右されてしまうため供給が安定しておらず設置に適した場所が国内には少なく、地域との調整が必要だったり、災害時等の対策も有していないため、実現するためには大規模な改革を行っていかなければなりません。

非電力部門の現状

非電力部門のCO2排出量は省エネ化によって減少していますが、カーボンニュートラルの実現を進めて行くためには、電化・熱需要の水素利用・分離や貯留したCO2の利用(CCUS)は必要になります。

非電力部門のCO2排出量は産業部門が全体の約半分を占めており、産業部門の中のCO2排出量は高炉での生産時に石炭を使用する鉄鋼業が約5割となっていて、大きなウェートを占めています。鉄鋼生産のカーボンニュートラル化を行うためには、水素を用いた還元反応によって鉄を生産する技術の開発が必要です。

カーボンニュートラル実現のポイントは?

プラミライ編集チームより

脱炭素社会の実現においては、「エネルギーの使用量削減」、「再生可能エネルギーへの切り替え」、「CO2を吸収・除去する取り組みの実施」という点がポイントになります。地球環境に貢献することで取引先からの信頼性向上・新たな需要の獲得・資金調達手法の拡大にもつながっていくでしょう。

当メディアでは、カーボンニュートラルに寄与するバイオマスプラスチックを製造する押出機を扱う機器メーカー、シーティーイーを取材しています。

【プロの目で読み解く】カーボンニュートラルやリサイクルと企業の向き合い方は?

取材協力
なにが地球にとって正しく、優しいかを考えて活動していく
株式会社CTE
CTE
伊藤勝人

サーマルリサイクルを除いたリサイクルをこれから日本は力を入れていく必要があると考えています(サーマルリサイクルが絶対にいけないというわけではありません)。日本がこれから向かっていかないといけないのは生産量を減らし脱プラスチックを目指すのではなく、アップサイクルやサステナブルに使える循環型にもっと力を入れていくべきでしょう。

そのなかでバイオマスや生分解性樹脂というのは人類の循環(分子レベルまでの分解により自然にかえる)という点で、サステナブルな社会につながると考えます。本質的になにが地球にとって正しく、優しいことかをしっかり考え企業活動を行っていく必要だと思います。

カーボンニュートラル実現へのひとつの施策、バイオマスプラスチックの導入

プラミライ編集チームより

SDGs目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」と目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に繋がる、カーボンニュートラルへの取り組み。その特性を有しているものが、植物由来のバイオマスプラスチックです。大量のCO2を排出している石油由来のプラスチックからカーボンニュートラルの特性を持つバイオマスプラスチックへ変換することで、環境への負荷を軽減できます。

バイオマスプラスチックの原料となっている植物が発育する際に吸収しているCO2が燃焼時に放出されるという考えから、結果的に大気中のCO2の増減に影響しないため、資源循環型社会の構築にも期待されています。