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デンプン

100%天然バイオマスのデンプンを活用したプラスチック事例と、押出機を提供しているプラスチック加工機器メーカーのシーティーイーを取材しました。

目次

デンプンが生分解性プラスチックとして適している理由

でんぷんは生分解性プラスチックの原料として優位性があります。 穀物が毎年再生産が可能な天然資源であり、全世界における穀物生産量は約18億トンとも言われています。余剰農産物と位置付けられているトウモウロコシの収穫量が4億トン以上と考えれば、大きな数字です。

また、でんぷんの製造が確立されていることも大きく、比較的低価格という点も大きな特性と言えるでしょう。

デンプンを活用したバイオマスプラスチックのメリット

  • 原料でん粉の種類や変性方法によって物性が調製可能
  • 酢酸セルロースやポリエステルと相容性が良く、複合化が可能

デンプンを使ったバイオマスプラスチックの用途

  • 農業用フィルム
  • ゴミ回収袋
  • 緩衝材
  • ボールペン
  • 軽量陶器

デンプンのプラスチック加工における課題

でんぷんは可塑剤として水分が適量ないとプラスチック性を示さず、分解、炭化が起こり成形できない課題があります。てんぷんにいかにプラスチック性を与えつつ、生分解性を維持するかが重要になってきます。

でんぷんからプラスチックを製造する方法として即効性があるのが、ブレンドです。 ただし、ブレンドされるでんぷんには、押出機により温度55~165℃で糊化させ、射出圧力600~3000kgf/cm2、温度80~240℃で射出成型するというような厳しい条件が必要となってきます。

デンプンのプラスチック加工事例

日本コーンスターチ株式会社が開発した、生分解性バイオマスプラスチック(商品名:「コーンポール」)の事例。

でん粉を変性し、疎水性と熱可塑性をもたせプラスチック化したもの。でんぷんが添加剤ではなく分子骨格の中心的役割を担っているのが特徴で、ボールペンのボディー部分、農業用フィルム、インキ・塗料といったさまざまな用途で利用できます。

デンプンの課題を解決できるプラスチック加工とは?

プラミライ編集チームより

デンプンは手に入れやすい安価な素材ですが、耐水性などの問題からプラスチック原料としては積極的に用いられていないのが実情です。しかし、デンプンやセルロースなどの多糖類同士の相互作用により耐水性が向上することも確認されています。そうしたコンパウンドにおいては、どんな素材でもしっかり混錬できる押出機が不可欠でしょう。今回、画期的な押出機を提供するプラスチック機器メーカーのシーティーイーを取材しました。

シーティーイーの押出機とは

シーティーイーの押出機は、高い混練性と幅広い樹脂に対応できるのが魅力。バンバリミキサタイプの複数ロータで混練するためフィラー濃度70%以上可能で、ミキシングロータの種類や個数を自由に変えられるためさまざまな樹脂に対応することができます。

デンプンのプラスチックコンパウンド事例

デンプンの事例
デンプン+グリセリン+水

【プロの目で読み解く】なぜ高フィラーコンパウンドができるのか

取材協力
ガスの外に出す機構があり、事前乾燥が不要
株式会社CTE
CTE
伊藤勝人

我々が実現できるのが、高フィラーコンパウンドです。その考え方は昔からありますが、いま環境問題と一緒に考えられている理由が、樹脂比率を下げ、無機物・有機物を高配合することにより環境問題に取り組もうという企業が増えてきているからです。

高フィラーコンパウンドが機械的に一番難しいところが「ガス」。押出機の機構上、まず樹脂を溶かすために高温度で原料に温度をかける必要があります。その際、高温にさらされた樹脂や無機物・有機物は大量の「ガス」を放出します(多くは水分)。

一般的な二軸押出機はその際に大量のガスを外に出す機構が十分でなく、押出機に入れる前に原料を事前乾燥させる必要がありますが、弊社の機械はガス抜けが良い機構に作っています。そのため事前乾燥が不要で、弊社独自の混錬機構により樹脂を痛めつけずに練ることができる製品となっています。