マテリアルリサイクルとは
マテリアルリサイクルとは
レベルマテリアルリサイクルとは、廃棄物を同じ製品の原料としてリサイクルすることを意味する言葉です。「水平リサイクル」などとも呼ばれており、実現するためには機能や品質を担保する必要があり、非常にハードルが高いという現状があります。食品関係になるとより衛生面におけるハードルが高くなり、廃棄物の回収から選別、洗浄などといった一連の仕組みが構築されていることが重要です。従って、マテリアルリサイクルの多くはダウンマテリアルリサイクルとなっています。
ダウンマテリアルリサイクル
ダウンマテリアルリサイクルは廃棄物が同じ製品の原料としての品質に満たない場合、一段階下げた分野における製品原料としてリサイクルを行うことを意味する言葉です。英語で「階段状に連なった滝」という意味のある言葉「Cascade」を用いて「カスケードリサイクル」などとも呼ばれています。前述のレベルマテリアルリサイクルと比較するとリサイクルに手間がかからないため、容易に取り組めるというメリットがあるマテリアルリサイクルです。
マテリアルリサイクルのメリット
現在、世界的に「脱炭素」「カーボンニュートラル」「SDGs」などといった環境に関する取り組みに注目が高まっており、我が国日本においてもさまざまな施策・政策が取られています。その中の一つにあるのがマテリアルリサイクルであり、廃棄・回収された廃棄物を新たな製品原料として用いています。
このマテリアルリサイクルにおける大きなメリットに「CO2排出量の削減」がありますが、これは廃プラスチックを有効活用することにより資源・エネルギーの代替を実現することができるため、本来排出されていたCO2排出量を抑えることが可能というものです。
また、「天然資源の消費を抑制できる」というメリットもあります。1から製品を製造する場合と比較すると、リサイクルを行った場合仕様する天然資源エネルギーを直接的に削減することが可能です。資源には限りがあることから、国内での循環ができるようになると環境に対する負荷軽減に繋がるだけでなく、製造原価の削減や製品の安定的な供給などの効果も期待できます。
マテリアルリサイクルの具体例
プラスチックにおけるマテリアルリサイクルでもっとも知られているのはペットボトルです。ごみとして廃棄されたペットボトルを新たなペットボトルに再利用するレベルマテリアルリサイクルのほか、衣類や食品トレーなど他の製品に再利用するダウンマテリアルリサイクルなどが有名です。ほかにも卵パックやラミネート包材、洗剤容器などといったプラスチックもマテリアルリサイクルにおける具体例として挙げられます。プラスチックのマテリアルリサイクルを実現するには、回収されたプラスチックを洗浄し異物を取り除くことが必要になりますので、その一連の流れをいかに仕組み化できるかが非常に重要なのです。
マテリアルリサイクルの課題
技術と設備の確立
現在、日本ではマテリアルリサイクルの施設が十分に整備されておらず、現状の技術や設備を前提とすると、すべてのプラスチックをマテリアルリサイクルできるわけではありません。例えばドレッシングのように油を含む食品容器やソース・焼肉のたれのように香辛料の香りが強い食品容器の場合、洗浄や分別に大変な手間がかかる事から、思ったようにリサイクルを進められません。このような技術・設備的な課題を解決することができると、幅広いプラスチック製品のマテリアルリサイクルを進められるようになるでしょう。
品質の劣化を防止する
廃棄されたペットボトルを新たなペットボトルとして再利用するレベルマテリアルリサイクルは、何度も熱を加えることでプラスチックの分子が切れ、品質の劣化が発生してしまいます。また、アルミや木くず、銅粉など異物の混入などでも必要な品質を維持することができなくなるためダウンマテリアルリサイクルにしか使えなくなってしまいます。再利用製品の品質をどこまで担保できるかもマテリアルリサイクルにおける課題の一つとなっています。
コストを抑える
マテリアルリサイクルは廃棄物を回収したあと分別や洗浄などのプロセスが必要になります。多くの作業が入ればその分だけ人件費やその他経費がかさんでしまいますので、これらのコストをどれだけ抑えられるかも非常に大きな課題の一つになります。
マテリアルリサイクルで必要なコスト
- 分別や選別の手間
- 洗浄コスト
- 再加工コスト
- 人件費
- 設備投資
- 設備維持費
- エネルギーコスト
- バージン原料混合コスト
まとめ
マテリアルリサイクルにはさまざまな課題がありますが、解決してより多くの廃棄物のリサイクルに取り組むことができれば地球環境に大きく貢献することができるでしょう。日本は高いリサイクル率を誇っているというデータもありますが、このリサイクルの中にはプラスチックごみを燃やして得られる熱エネルギーを回収するリサイクルを示す「サーマルリサイクル」が含まれています。欧米基準ではこのサーマルリサイクルはリサイクルに含まれませんので、これを考慮すると日本のリサイクル率は世界諸国に比べて大きく後れを取っています。一人一人が正しくリサイクルを学び・理解することができれば、日本も地球環境に大きく貢献する世界を作っていくことができるのではないでしょうか。