プラスチックの正しい処分方法は?
地球温暖化への対策が求められる昨今、SDGsをはじめとしたさまざまな取り組みが行われていますが、中でもプラスチックを使用した製品は、そのゴミ処理がしばしば問題に取り上げられます。
今までは使い捨てられていたスプーンやストローなどのプラスチック製品が紙製や木製のもので代用されるようになるなど、環境問題とプラスチックは密接な関係となっています。我々の生活に浸透をしているプラスチックとの共存を図るためにはその処分方法や分別方法を学び、正しく処理することが必要です。
廃プラスチックの分類
産業廃棄物
廃プラスチックは大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けることができます。
その対象となるプラスチックがどちらに属するかについては、その廃棄物が「事業活動に伴い発生したかどうか」という点で判断されることになります。この「事業活動に伴い発生した」プラスチックについては産業廃棄物として取り扱われることになります。
一般廃棄物
前項の通り事業活動に伴い発生したものは産業廃棄物として取り扱われますが、そうでない場合には一般廃棄物として取り扱われることになります。物体としては同じであっても発生経緯が異なると別の取り扱いになるため注意しましょう。
また、判断が難しいような場合には曖昧なまま処理を進めることはリスクになりますので、自治体などに確認を取ることをおすすめします。
プラスチックの処分方法
プラスチックを正しく処分するためには、その方法を知っておかなければいけません。さらにプラスチック処分における課題などの背景を知っておくと、より適切な判断ができるようになるでしょう。
日本のプラスチック処分における課題
再生材の安定供給を実現させるためには、リサイクル原料となる廃プラスチックをどう回収するかが重要なポイントになります。その中でも特に油化・ガス化のようなケミカルリサイクルプラント事業においては大量の廃プラスチックを安定的に確保することが必要になるため、廃プラスチックの発生源を把握したうえで企業や自治体と協力し、囲い込みを実行しなければいけません。
過去には海外に大量の廃プラスチックを輸出したことで国内の供給が不足するという事態も発生していましたが、近年では輸入規制などの影響もあり市場の様相は変化しています。その他にも再生材として取り扱うためにはそのリサイクルコストや輸送効率、CO2の排出削減対策などさまざまな課題が顕在化しています。
「廃プラスチックには価値がある」
先に解説した通り、リサイクル分野においては廃プラスチックの安定確保が求められています。近年では廃プラスチックは資源であるとも考えられており、足元では再生プラスチックが新品を上回る価格で取引される状況も発生しています。また、世界的な脱炭素潮流がトリガーとなりプラスチック資源の需要が高まり、原料が不足することで各メーカーの掲げる「再生プラスチック使用目標」の達成が厳しい状況にもあります。
特に国内で確保できる物量は極めて少ないというような状況もあるため、需要と供給のバランスにより廃プラスチックの価値が高まっています。
プラスチック資源収集量の拡大に向けて
プラスチックの取り扱いについては、2022年4月1日に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」によりその回収拡大への取り組みが進められています。
この法律では3R+Renewableというキャッチのもと、周知徹底が図られています。リデュース・リユース・リサイクルと環境問題でよく挙げられる3Rに加え、再生可能を意味する「リニューアブル」を含めた考え方となっており、資源問題解決を進めながら経済成長や雇用成長など、さまざまな場面に好影響を及ぼすことが期待されています。
この法律で求められたことはレジ袋をはじめとしたワンウェイプラスチックの使用削減、プラスチック資源の分かりやすく効果的な分別回収やリサイクル、社会システムの確立などです。
再生材やリサイクル問題だけでなく、海洋プラスチック対策や国際展開など、間接的に影響を受けるものも含めあらゆる重点戦略が定められています。
従来、プラスチック製容器包装以外のプラスチック使用製品廃棄物は燃えるごみとして収集・処分されていました。
同じプラスチックという素材であってもプラスチック製容器包装は資源物などとして収集されますが、プラスチック使用製品は可燃物などとして収集される状況が分かりづらかったため、この分別ルールをわかりやすくすることでプラスチック使用製品廃棄物もリサイクルが可能になるよう定められました。
プラスチックの分別の仕方
プラスチックを今まで以上に効率よくリサイクルするためには性質ごとに分別する必要があります。その重要な分別について、具体的にどのようにリサイクルするのがいいかを紹介します。
廃プラMIX
廃プラスチックを種類や素材に関係なく分別すると「廃プラMIX」として処理されます。この廃プラMIXはそのすべてがリサイクルされるわけではありませんが、混合廃棄物として処理するよりも格段にリサイクル率が上がります。
塩ビ管
廃プラMIXから更に分別をしようとすると、塩ビ管を取り出す必要があります。これはマテリアルリサイクルされる廃プラスチックであり、単品分別することでリサイクル率が上がるとされています。
非塩素・軟質プラ
廃プラMIXから塩ビ管を除くと、次は塩素を含まない軟質系廃プラスチックの分別を行います。これは固形燃料の原材料になり、セメント工場などで熱エネルギーとして利用されることになります。この非塩素・軟質プラはさらに単品分別を行うことで、マテリアルリサイクルとなる品目がありますので効果が高まることを期待できます。
非塩素・硬質プラ
最後に塩素を含まない硬質系廃プラスチックを単品分別し、プラスチック製品の原料として再利用することが可能です。この分別が最も地球にやさしい再生方法であると言われており、効果が高くなる分別方法です。
プラスチックの正しい処分方法を理解してプラスチックとの共存を
このページで解説したように、プラスチックについては環境問題を含めたさまざまな課題が顕在化しており、それらを解決するためにはリサイクルが欠かせません。また、そのリサイクルを確実かつ適切に行うためには分別を正しく行う必要がありますので、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」でも触れられているようなプラスチックの正しい処分方法を理解したうえで、個人個人がそれらを実践することが非常に重要です。
我々の生活にはプラスチックが無ければ不便に感じるシーンがたくさんありますので、完全になくすことはできないでしょう。一方で環境面への配慮もしなければこれからの未来、私たち人間が済む地球環境は悪化の一途を辿りますから、この問題にも向き合わなければいけません。私たちが目指さなければいけないのは、プラスチックの正しい処分方法をしっかりと理解したうえで、プラスチックと共存していくための環境を作ることです。