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マイクロプラスチックとSDGs

海の豊かさを脅かしているマイクロプラスチックは、SDGsでも課題となっている問題です。プラスチックごみが増え続けたことで、海に大量に漂っているマイクロプラスチックが自然環境や生態系にどのような影響を与えているのかまとめてみました。早くから環境問題に取り組んでいたプラスチックの加工業者CTEに取材をしていますのでぜひチェックしてみてください。

目次

SDGsで問題視されるマイクロプラスチックとは

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引用元HP:日本野鳥の会(https://www.wbsj.org/activity/conservation/law/plastic-pollution/article/2021-05-06/)

SDGsの目標14には、「海の豊かさを守ろう」という項目があります。これが掲げられた背景は、プラスチックごみが1億5000万トン以上増えていたり、漁網やロープなどの漁具(※1)、生活排水や工場排水が原因で海洋汚染が拡大していたり、海洋資源が減少していることを起因としています。

私たちの生活の中で大量に排出されているプラスチックごみのなかでも、とくに深刻なのが海を漂う大量のプラスチックごみです。これらは海洋プラスチックと呼ばれており、波に打たれたり紫外線にさらされたりしながら、少しずつ小さく砕けていきます。

大きさが5mm以下まで細かくなったものがマイクロプラスチックで、マイクロプラスチックは小さく砕けていく過程でさまざまな汚染物質が吸着しているため、多くの有害化学物質を含んでおり世界的に問題となっています。

※1参照元:https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/60161

マイクロプラスチックが自然環境に与える影響

海洋生物が命を落とす

海の生き物にとってプラスチックごみは、生死にかかわるほど深刻なものとなっています。ウミガメや海鳥が海に漂うごみに絡まったり、プラスチック製の透明の袋はクラゲと間違い飲み込まれたりすることもあり、これまでに数多くの海洋生物が傷つき命を落としています。

海洋に流れ着くプラスチックごみ以外にも、漁業で使用している網や魚釣りの釣り糸などもプラスチックごみの一種。魚の釣り糸によって身体が傷つきエサをとれなくなってしまうケースは後を絶たず、さまざまなメディアでも取り上げられています。

魚を食べる人への健康被害も起こりうる

マイクロプラスチックはごく小さな粒のようなプラスチックの破片なので、海の生き物が簡単に海水と一緒に飲み込んでしまったり、プランクトンと間違えて食べてしまったりしています。

カツオやマグロといった海洋生物はイワシやエビなどを毎日大量に食べるため、体内にPCB(ポリ塩化ビフェニル)や有害物質がたまっていることが明らかになっています。現時点では人体に影響を与えるほどの有害レベルではないとはいえ、このままマイクロプラスチックが増え続ければ、悪影響を及ぼす可能性も否定できません。

マイクロプラスチックの種類

マイクロプラスチックにもいくつか種類があります。

一次マイクロプラスチック

マイクロプラスチックは、海に漂うものだけでなく日常生活に欠かせない化粧品や洗顔料のスクラブ剤、歯磨き粉などの研磨剤としても含まれています。製品や製品原料として使用されているため、製造時点ですでに細かくなっており、これらを一次マイクロプラスチックと呼んでいます。

主に家庭の排水溝などから下水処理を通過し海へと流出するので、一度流出したマイクロプラスチックは回収が難しく、製品化された後の対策が困難な状況となっています。

二次マイクロプラスチック

二次マイクロプラスチックとは、街などに捨てられたビニール袋やペットボトルといったプラスチック製品が側溝などから河川を伝って海へ流出し、波の作用や紫外線などによる劣化によって極細されたマイクロプラスチックのことです。

二次マイクロプラスチックは本来小さなプラスチックではないため、海に流出するゴミを削減しマイクロ化することを抑制すれば、ある程度の対策が講じられるため、世界規模で多様な取り組みが行われています。

マイクロプラスチックの減少のためになにができるか

プラミライ編集チームより

マイクロプラスチックを減らさない限り、海洋生物の生態系の破壊や海の汚染に歯止めがかかりません。

これらを解決していくには、作り手と使い手それぞれの意識の向上が不可欠と考えます。
使用したプラスチックはしっかりと分別をして廃棄することはもちろんですが、ほかにも、プラスチックの製造段階から環境にやさしい素材に変えていくことができるでしょう。

その点で、早くからバイオマスプラスチックに携わり、プラスチック加工を行なう押出機を提供しているメーカー、シーティーイーに取材をしました。

【プロの目で読み解く】マイクロプラスチックと企業の向き合い方

取材協力
問題提起して環境問題と共存する対策を練る必要がある
株式会社CTE
CTE
伊藤勝人

マイクロプラスチックの大きな原因として考えられるのが、廃棄問題です。マイクロプラスチックが海洋に流れ着く原因はいくつかありますが大きなものが、海上で捨てられたプラスチックゴミや、海洋で使用されているプラスチック製品。漁網をそのまま海に捨ててしまう漁師も存在するということのも悲しいですが現実です。

我々プラスチック産業機械メーカーとしてできるのは、多くのプラスチック問題に対してしっかりと問題提起し、良い対策を見つけ、環境問題と共存することであると考えています。

たとえば廃棄されてしまう運命にある漁網を原材料としたアップサイクルプロジェクトを推進しているリファインバース社のように、漁網をどう回収し、どのようにリサイクルし、回収量を増やすにはどのようにすれば良いのかを考えることが大事でしょう。

SDGsの目標達成のために企業ができることは?

プラミライ編集チームより

SDGsの観点では「14の海の豊かさを守ろう」はもちろん、「12のつくる責任、つかう責任」という点にも繋がるポイントが、マイクロプラスチックの削減です。リサイクルする循環の仕組みを整備のほか、サーマルリサイクルの技術の開発、生分解性プラスチックへの代替が求められてきます。

そのなかでも注目を集めているのが、生分解性プラスチック。とくにマイクロプラスチックの削減に加え、CO2排出量抑制という世界の課題解決につながるバイオマス由来の生分解性プラスチックへの期待が高まっています。企業のイメージアップや新たなビジネス展開など、幅広いメリットも見込めまるので、チェックしてみてください。